- 空室が3ヶ月以上続いている
- 賃料を下げるしかないのか悩んでいる
- 効果的な募集方法が分からない
倉庫の空室対策として、賃料の値下げを考える方も多いのではないでしょうか。しかし実は、賃料を下げる前に試すべき対策は複数あります。
物件情報の見せ方を工夫する、募集チャネルを増やす、ターゲット業種を広げるといった対策により、賃料を維持したままテナントがつくケースも存在します。
この記事では、倉庫が決まらない原因から、具体的な空室対策7つ、そして対策の優先順位まで詳しく解説します。初めて倉庫を貸す方でも、この記事を読めば次に何をすべきかが明確になるでしょう。
倉庫が決まらない3つの原因
倉庫の空室対策を始める前に、まずはなぜテナントがつかないのか、根本原因を理解することが重要です。原因を把握せずに対策を打っても、的外れな施策に時間とコストを費やすだけになってしまいます。
倉庫が決まらない原因は、大きく分けて3つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
原因①:物件情報の露出不足
テナント候補に物件情報が届いていなければ、どれだけ条件が良い倉庫でも決まりません。不動産ポータルサイトに掲載していない、掲載していても写真が少ない、物件の強みが伝わっていないといった状態では、内覧にすら至らないのです。
特に倉庫の場合、住宅と比べて専門的なポータルサイトの数が限られています。一般的な不動産サイトだけでなく、倉庫専門のサイトにも掲載することで、物流業者や製造業など倉庫を探している企業に情報を届けることができます。
また、掲載している情報の質も重要です。写真が暗い、枚数が少ない、設備の詳細が書かれていないといった物件情報では、テナント候補は他の物件に流れてしまいます。
原因②:ターゲット設定のミスマッチ
一般的な物流倉庫としての需要がない立地や設備でも、ターゲットを変えれば決まることがあります。高速道路から遠い倉庫を物流業者に提案しても決まりませんが、地域密着型のECショップや建設業者の資材置き場としてなら十分なニーズがあるのです。
自分の倉庫がどんなテナントに適しているかを見極めず、漠然と「倉庫を貸したい」と募集しているだけでは、適切なテナント候補に情報が届きません。立地、設備、広さなどの条件から、最適なターゲット層を絞り込むことが重要です。
例えば、住宅街に近い倉庫であれば、通勤圏内で倉庫を探しているEC事業者にとっては好立地です。一方、高速道路沿いの倉庫は物流業者に適しています。このように、自分の倉庫の特性を理解した上でターゲットを設定することが、空室解消の第一歩となるでしょう。
原因③:設備・立地の訴求力不足
周辺の競合物件と比較した際、自分の倉庫にどんな強みがあるのかを明確に伝えられていないケースも多くあります。賃料が安い、駐車スペースが広い、シャッターが電動など、何かしら強みがあるはずですが、それが物件情報に反映されていなければ選ばれません。
また、設備が古い、内装が汚れているといった弱点があっても、小規模な改修で解決できる場合があります。LED照明への交換、シャッター周りの清掃、駐車スペースのライン引き直しなど、数万円の投資で物件の印象を大きく変えることができるのです。
訴求力を高めるには、まず競合物件を調査することが重要です。同じエリアの類似倉庫がどんな設備を備えているか、賃料はいくらかを把握した上で、自分の倉庫の強みを明確にしましょう。
賃料値下げ以外の空室対策7選
倉庫の空室対策として、すぐに賃料値下げを考える方も多いでしょう。しかし、賃料を下げる前に試すべき対策は複数あります。ここでは、賃料を維持したままテナントを獲得するための7つの対策を紹介します。
まずは、7つの対策を一覧で確認しましょう。それぞれの対策にかかる費用、期間、難易度をまとめました。
| 対策 | 費用 | 期間 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| ①写真・動画の改善 | 0円 | 即日 | 低 |
| ②小規模改修 | 3〜10万円 | 1週間 | 中 |
| ③募集チャネル拡大 | 0〜5万円 | 1〜2週間 | 低 |
| ④ターゲット業種拡大 | 0円 | 即日 | 中 |
| ⑤定期賃貸借活用 | 0円 | – | 中 |
| ⑥用途変更 | 10〜50万円 | 1〜3ヶ月 | 高 |
| ⑦サブリース | 0円 | 1〜2週間 | 低 |
費用がかからず即日で実施できる対策もあれば、初期投資が必要だが長期的な効果が期待できる対策もあります。それぞれの対策について、次の章から詳しく解説していきます。
対策①:写真・動画で内覧率を上げる
物件情報を見たテナント候補が内覧を申し込むかどうかは、写真や動画の質で大きく変わります。暗い写真や枚数が少ない写真では、倉庫の魅力が伝わらず、内覧前に候補から外されてしまうのです。
住宅と違い、倉庫は実際に見ないと広さや使い勝手が分かりにくい物件です。だからこそ、写真や動画で事前に詳細な情報を伝えることが、内覧率を上げる鍵となります。
テナントが重視する撮影ポイント
倉庫を探しているテナントが最も知りたいのは、広さと使い勝手です。まず、倉庫内の全景を撮影し、どれくらいの広さがあるのかを一目で分かるようにします。入口から奥まで見渡せるアングルで撮影することで、実際の広さが伝わりやすくなるでしょう。
次に、シャッターの開閉状態、駐車スペース、トイレや給排水設備などの細部も撮影します。トラックが何台停められるか、荷物の搬入がしやすいかといった点は、物流業者にとって重要な判断材料です。
また、天井高や床の状態も撮影しておくと親切です。高さのある荷物を保管したいテナントや、重量物を扱うテナントにとって、これらの情報は欠かせません。
スマホでできる撮影テクニック
プロのカメラマンに依頼する必要はありません。スマートフォンでも、撮影のコツを押さえれば十分に魅力的な写真が撮れます。
最も重要なのは、明るい時間帯に撮影することです。自然光が入る時間帯を選び、倉庫内の照明もすべて点灯させてから撮影しましょう。暗い写真は物件全体の印象を悪くしてしまいます。
動画を撮影する場合は、入口から奥までゆっくり歩きながら撮影します。歩くスピードは、実際に内覧しているときと同じくらいのペースが理想です。動画であれば、写真では伝わりにくい動線や広さの感覚を伝えることができます。
掲載枚数の目安
不動産ポータルサイトでは、写真枚数が多いほど内覧率が高まる傾向があります。最低でも10枚以上、できれば15〜20枚程度を掲載することをおすすめします。
具体的には、外観3枚、倉庫内全景5枚、シャッター・駐車スペース3枚、設備(トイレ・給排水など)3枚、周辺環境2枚といった配分が理想的です。テナントが知りたい情報を網羅的に伝えることで、内覧前の不安を解消できるでしょう。
対策②:小規模改修で差別化する
大規模なリフォームをしなくても、数万円の小規模改修で物件の印象を大きく変えることができます。競合物件との差別化を図るために、費用対効果の高い改修から取り組みましょう。
小規模改修の利点は、初期投資が少なく済むこと、工期が短いこと、そして賃料アップの口実になることです。改修後は物件情報に「LED照明完備」「駐車スペース3台分」などの訴求ポイントを追加できます。
おすすめの小規模改修3選
ここでは、費用対効果が高く、多くのオーナーが実施している改修を3つ紹介します。いずれも10万円以下で実施でき、1週間程度で完了するものです。
LED照明への交換(費用:3万円〜5万円)
古い蛍光灯をLED照明に交換するだけで、倉庫内が明るくなり清潔感が増します。LED照明は電気代も安くなるため、テナントにとってもメリットがあります。交換作業は電気工事業者に依頼すれば、1〜2日で完了するでしょう。
特に、倉庫内が暗いという理由で内覧後に断られることが多い場合、LED照明への交換は効果的です。明るい倉庫は作業効率が上がるため、テナントにとって魅力的な訴求ポイントになります。
シャッター周りの清掃・塗装(費用:2万円〜5万円)
シャッターは倉庫の顔とも言える部分です。錆びや汚れが目立つと、建物全体が古く見えてしまいます。シャッター周りを清掃し、必要に応じて塗装を施すことで、第一印象を改善できます。
業者に依頼する場合は2万円〜5万円程度かかりますが、DIYで行えばさらに費用を抑えられます。ホームセンターで錆止め塗料を購入し、週末に作業するだけでも見違えるほど綺麗になるでしょう。
駐車スペースのライン引き直し(費用:1万円〜3万円)
駐車スペースのラインが消えていると、何台停められるのか分かりにくく、内覧時の印象も悪くなります。ライン引きは専門業者に依頼すれば1万円〜3万円程度で対応してもらえます。
ラインがはっきりすることで、駐車可能台数が明確になり、テナントも安心して契約できます。特に、トラックを複数台停める必要がある物流業者にとって、駐車スペースの明確さは重要な判断材料です。
改修後の訴求ポイントの作り方
小規模改修を行った後は、必ず物件情報に反映させましょう。改修前と改修後で何が変わったのかを明記することで、競合物件との差別化につながります。
例えば、LED照明に交換した場合は「LED照明完備・電気代削減」、駐車スペースを整備した場合は「大型トラック3台駐車可能」といった具体的な表現を使います。改修にかかった費用は、賃料を月額数千円上げることで回収できるでしょう。
小規模改修は、賃料を上げる口実にもなります。周辺相場と比較しながら、改修内容に見合った賃料設定を行いましょう。
対策③:募集チャネルを増やす
倉庫を探しているテナント候補は、複数の媒体で物件情報を探しています。掲載する媒体が少ないと、それだけテナント候補の目に触れる機会が減ってしまうのです。
募集チャネルを増やすことは、費用をかけずに実施できる対策の一つです。掲載料が無料のサイトもあるため、まずは無料で掲載できる媒体から始めてみましょう。
倉庫専門ポータルサイトへの掲載
一般的な不動産サイトだけでなく、倉庫や工場に特化したポータルサイトにも掲載しましょう。倉庫専門サイトには、物流業者や製造業など、倉庫を本気で探している企業が集まっています。
掲載料は無料のサイトもあれば、月額数千円〜数万円のサイトもあります。まずは無料サイトに掲載し、反応を見ながら有料サイトへの掲載を検討すると良いでしょう。複数のサイトに掲載することで、テナント候補との接点を増やすことができます。
地域密着型の不動産会社への依頼
地元で長年営業している不動産会社は、地域の企業とのネットワークを持っていることが多くあります。特に中小企業の倉庫ニーズは、大手ポータルサイトよりも地域密着型の不動産会社経由で決まることが珍しくありません。
複数の不動産会社に依頼することで、テナント候補との接点を増やすことができます。依頼する際は、専任媒介契約ではなく一般媒介契約を選ぶことで、複数の会社に同時に募集を依頼できるでしょう。
SNS・自社サイトでの直接募集
SNSや自社ホームページを活用して、直接募集を行う方法もあります。特に地域の商工会や業界団体のSNSグループに投稿することで、倉庫を探している地元企業に直接アプローチできます。
直接募集のメリットは、仲介手数料がかからないことです。通常、不動産会社を通して契約する場合、賃料の1ヶ月分程度の仲介手数料が発生しますが、直接募集であればこの費用を節約できます。節約できた分を、テナントとの賃料交渉に使うこともできるでしょう。
対策④:ターゲット業種を広げる
倉庫を貸す際、物流業者だけをターゲットにしていませんか。実は、倉庫を必要としている業種は物流以外にも多く存在します。ターゲット業種を広げることで、これまで見過ごしていた需要を掘り起こすことができるのです。
特に、高速道路から遠い、設備が最低限といった条件の倉庫は、大手物流業者には向きません。しかし、視点を変えれば、こうした倉庫にも十分なニーズがあります。
物流業者以外の潜在ニーズ
倉庫を必要としているのは、物流業者だけではありません。近年、EC事業の拡大、製造業の在庫管理、建設業の資材保管など、さまざまな業種で倉庫ニーズが高まっています。
これらの業種は、物流業者とは異なる条件を重視します。例えば、EC事業者は高速道路への近さよりも、自宅や事務所からの通いやすさを重視します。建設業者は、工事現場から近い場所を探しています。このように、業種ごとに求める条件が異なるため、自分の倉庫に合ったターゲットを見つけることが重要です。
ECショップの在庫保管ニーズ
近年、個人や小規模事業者がECショップを運営するケースが増えています。自宅に在庫を置けない、発送作業のスペースが必要といった理由で、小〜中規模の倉庫を探している事業者は少なくありません。
ECショップ向けの倉庫は、高速道路から遠くても問題ありません。むしろ、住宅街に近く、日常的に通いやすい場所が好まれます。また、広さも50坪〜100坪程度の中規模で十分なケースが多いため、大手物流業者が敬遠するような倉庫でもニーズがあるでしょう。
建設業者の資材置き場ニーズ
建設業者は工事現場ごとに資材や機材を保管する場所を必要とします。工事期間中だけの短期契約を希望するケースもあり、定期賃貸借との相性も良いでしょう。
資材置き場としての利用であれば、倉庫内の設備が最低限でも問題ありません。トイレや給排水設備がなくても、雨風をしのげる屋根付きのスペースがあれば十分です。また、工事現場から近い場所であれば、多少立地が悪くても借り手がつく可能性があります。
製造業の部品倉庫ニーズ
製造業では、部品や原材料を保管するための倉庫を探していることがあります。特に中小企業は、自社工場の近くに追加の保管スペースを求めていることが多く、立地によっては安定した長期契約が期待できるでしょう。
製造業向けの倉庫では、温度管理や湿度管理が不要な部品であれば、古い倉庫でも問題ありません。また、床荷重が高い倉庫であれば、金属部品や重量物を扱う製造業にとって魅力的な物件となります。
ターゲット業種を広げる際は、物件情報の書き方も変える必要があります。例えば「物流倉庫」ではなく「多目的倉庫」と表記したり、「EC事業者歓迎」「資材置き場可」などの文言を追加することで、幅広い業種の目に留まりやすくなります。
対策⑤:定期賃貸借で短期契約を提案
通常の賃貸借契約では更新が前提となるため、テナント側も長期利用を想定した慎重な判断が求められます。一方、定期賃貸借契約であれば、あらかじめ期間を区切って契約できるため、短期利用を希望するテナントにとってハードルが下がるのです。
定期賃貸借は、オーナー側にもメリットがあります。契約期間満了後に確実に倉庫を取り戻せるため、将来的に自分で使う予定がある場合や、売却を検討している場合に有効です。
定期賃貸借とは
定期賃貸借契約とは、契約期間を明確に定め、期間満了とともに契約が終了する賃貸借契約です。普通賃貸借契約と異なり、借主からの更新請求権がないため、オーナーは期間満了後に確実に倉庫を取り戻すことができます。
契約期間は自由に設定できますが、倉庫の場合は1年〜3年程度が一般的です。短期間の利用を希望する建設業者や、事業拡大の様子を見ながら倉庫を借りたいEC事業者などに適しています。
また、定期賃貸借契約では、契約終了時の立ち退き交渉が不要です。普通賃貸借契約では、オーナーが倉庫を取り戻したくても、借主が退去を拒否すれば立ち退き料の支払いが必要になるケースがあります。定期賃貸借であれば、こうしたトラブルを避けることができるでしょう。
定期賃貸借が有効なケース
定期賃貸借契約は、次のようなケースで特に有効です。
まず、将来的に自分で倉庫を使う予定がある場合です。例えば、3年後に自社の事業拡大で倉庫が必要になる見込みがある場合、3年間の定期賃貸借契約を結べば、確実に倉庫を取り戻すことができます。
次に、建て替えや売却を検討している場合です。定期賃貸借であれば、契約期間を建て替え時期に合わせて設定できるため、スムーズに計画を進められます。
また、テナントの信用力に不安がある場合にも有効です。定期賃貸借であれば、まず短期間で契約し、テナントの支払い状況を見てから再契約を判断できます。信用力が不明な新規事業者などに貸す場合、リスクを抑えることができるでしょう。
対策⑥:用途変更でニーズを広げる
倉庫として貸し出すのではなく、別の用途に変更することで新たな需要を掘り起こす方法もあります。ただし、用途変更には一定の費用と手続きが必要になるため、他の対策を試した上で検討するのが良いでしょう。
用途変更は初期投資がかかりますが、成功すれば長期的に安定した収益を得られる可能性があります。特に、倉庫としてのニーズが少ないエリアでは、用途変更が有効な選択肢となるでしょう。
トランクルームへの転用
倉庫をトランクルームに転用することで、個人客をターゲットにした事業が可能になります。近年、マンション住まいの増加や物を減らしたいというニーズから、トランクルーム市場は拡大傾向にあります。
トランクルームへの転用には、内部を区画に分ける工事、防犯カメラの設置、鍵の管理システムの導入などが必要です。初期投資として数十万円〜数百万円がかかりますが、自分で運営するだけでなく、トランクルーム運営会社にサブリースで貸し出す方法もあります。
サブリースの場合、運営会社が顧客募集や管理をすべて行ってくれるため、オーナーの手間はほとんどかかりません。家賃収入は自主運営より少なくなりますが、安定した収益が見込めるでしょう。
事務所兼倉庫としての提案
倉庫の一部を事務所スペースとして改装し、倉庫兼事務所として貸し出す方法もあります。小規模な事業者にとって、在庫管理と事務作業を同じ場所で行えるのは大きなメリットです。
事務所スペースを作るには、空調設備の設置、トイレ・給排水設備の整備、内装の改修などが必要になります。費用は規模によりますが、10万円〜50万円程度が目安となるでしょう。
事務所兼倉庫としての需要は、EC事業者や小規模な製造業に多くあります。事務作業と在庫管理を一箇所で完結できるため、効率的に事業を運営できます。また、事務所部分があることで、賃料を通常の倉庫より高めに設定できる可能性もあるでしょう。
用途変更の手続きと注意点
用途変更を行う場合、建築基準法上の手続きが必要になることがあります。特にトランクルームへの転用では、倉庫業法の登録が必要なケースもあるため、事前に専門家に相談することをおすすめします。
また、用途変更には一定の初期投資が必要です。投資額を回収できる見込みがあるかどうか、事前に収支シミュレーションを行いましょう。トランクルーム運営会社や不動産会社に相談すれば、需要予測や収支計画のアドバイスを受けることができます。
用途変更は、他の対策を試してもテナントがつかない場合の選択肢として検討しましょう。初期投資が大きいため、まずは費用のかからない対策から始めることをおすすめします。
対策⑦:サブリースで空室リスクをゼロにする
これまで紹介した対策を試しても空室が埋まらない、あるいは管理の手間をかけたくないという場合は、サブリースという選択肢があります。サブリースを利用すれば、空室リスクと管理の手間を同時にゼロにすることができます。
サブリースは、家賃収入が相場より少なくなるというデメリットがありますが、安定収入を最優先したいオーナーにとっては有効な選択肢です。
サブリースの仕組み
サブリースとは、オーナーが倉庫をサブリース会社に貸し、サブリース会社がエンドユーザーに転貸する仕組みです。オーナーはサブリース会社から固定家賃を受け取るため、空室でも収入が保証されます。
具体的な流れは次の通りです。まず、オーナーとサブリース会社が賃貸借契約を結びます。サブリース会社は、契約期間中、毎月一定額の家賃をオーナーに支払います。この家賃は、エンドユーザーがいてもいなくても変わりません。
次に、サブリース会社がエンドユーザーを募集し、転貸契約を結びます。テナント募集や管理業務はすべてサブリース会社が行うため、オーナーの手間はほとんどかかりません。エンドユーザーとの契約条件や家賃交渉も、サブリース会社が対応します。
サブリースのメリット
サブリースの最大のメリットは、空室リスクがゼロになることです。エンドユーザーが見つからなくても、サブリース会社からの家賃は保証されます。通常の賃貸借契約では、空室期間中は収入がゼロになりますが、サブリースであれば毎月安定した収入を得ることができます。
次に、管理の手間がゼロになることも大きなメリットです。テナント募集、契約手続き、家賃の集金、クレーム対応など、賃貸経営に伴う面倒な業務をすべてサブリース会社に任せることができます。
また、長期的な収支計画が立てやすいこともメリットです。毎月一定額の家賃が入るため、ローン返済計画や将来の資金計画を正確に立てることができるでしょう。
サブリースのデメリット
一方、デメリットとしては、家賃が相場の80〜90%程度に下がることが挙げられます。サブリース会社は、空室リスクを負う代わりに、家賃の一部を手数料として受け取ります。そのため、自分で直接テナントに貸すよりも収入は少なくなります。
次に、契約期間の縛りがあることもデメリットです。多くのサブリース契約では、3年〜5年程度の契約期間が設定されており、期間中は簡単に解約できません。将来的に自分で倉庫を使いたくなった場合でも、契約期間が満了するまで待つ必要があります。
また、サブリース会社が倒産するリスクもあります。倒産した場合、家賃保証が受けられなくなるだけでなく、エンドユーザーとの契約関係が複雑になる可能性があります。サブリース会社を選ぶ際は、経営状態や実績をしっかり確認することが重要です。
サブリースが向いているオーナー
サブリースは、次のようなオーナーに適しています。
まず、空室リスクを完全に回避したい方です。空室期間が長引くと精神的な負担も大きくなります。サブリースであれば、空室を心配する必要がなく、安心して賃貸経営を続けることができるでしょう。
次に、管理の手間をかけたくない方です。本業が忙しい、遠方に住んでいるといった理由で、倉庫の管理に時間を割けない場合、サブリースが有効です。
また、安定収入を最優先したい方にも適しています。家賃収入は相場より少なくなりますが、毎月確実に入ってくる収入を重視する場合、サブリースは魅力的な選択肢となるでしょう。自力での空室対策が難しい場合や、3ヶ月以上決まらない場合は、サブリースも選択肢として検討する価値があります。
空室対策の優先順位と選び方
ここまで7つの空室対策を紹介してきましたが、すべてを同時に実施する必要はありません。費用や手間を考慮しながら、優先順位をつけて取り組むことが重要です。
適切な優先順位で対策を進めることで、無駄なコストを抑えながら、効率的に空室を解消することができます。
まず試すべき対策
最初に取り組むべきは、費用がかからず即日で実施できる対策です。具体的には、対策①(写真・動画の改善)、対策③(募集チャネル拡大)、対策④(ターゲット業種拡大)の3つです。
これらは自力で実施でき、リスクもありません。写真を撮り直し、複数のポータルサイトに掲載し、物件情報に「EC事業者歓迎」「資材置き場可」といった文言を追加するだけでも、内覧の申し込みが増える可能性があります。
まずは1〜2ヶ月様子を見て、内覧の申し込みが増えるかどうかを確認しましょう。内覧が増えたものの契約に至らない場合は、次のステップに進みます。
内覧後に断られる場合の対策
内覧の申し込みはあるものの、契約に至らないケースでは、対策②(小規模改修)を検討します。内覧時に「倉庫が暗い」「駐車スペースが分かりにくい」といった理由で断られることが多い場合、数万円の投資で改善できる可能性があります。
LED照明への交換、シャッター周りの清掃、駐車スペースのライン引き直しなど、費用対効果の高い改修から始めましょう。改修後は、物件情報に改修内容を追加し、再度募集をかけます。
3ヶ月決まらない場合の選択肢
3ヶ月以上空室が続く場合は、対策⑤(定期賃貸借)、対策⑥(用途変更)、対策⑦(サブリース)のいずれかを検討する段階です。
将来的に自分で使う予定がある場合は定期賃貸借、初期投資をかけても長期的な収益を得たい場合は用途変更、管理の手間をかけたくない場合はサブリースが適しています。
それぞれのメリット・デメリットを比較し、自分の状況に合った方法を選びましょう。特に、サブリースは空室リスクをゼロにできる唯一の方法です。安定収入を最優先したい場合は、サブリースを検討する価値があるでしょう。
まとめ
倉庫の空室対策は、賃料値下げ以外にも多くの選択肢があります。物件情報の見せ方を工夫する、募集チャネルを増やす、ターゲット業種を広げるといった対策により、賃料を維持したままテナントを獲得することは十分に可能です。
まずは費用がかからない対策①〜④から始め、1〜2ヶ月様子を見ましょう。内覧が増えても契約に至らない場合は、対策②の小規模改修を検討します。それでも決まらない場合は、定期賃貸借や用途変更、サブリースなどの選択肢を検討する段階です。
自分の倉庫の状況を見極めながら、最適な空室対策を選ぶことが重要です。空室リスクと管理の手間をゼロにしたい場合は、サブリースという選択肢もあることを覚えておきましょう。適切な対策を実施すれば、賃料を下げることなく、安定したテナントを見つけることができるはずです。

