親から倉庫を相続した。でも自分は使わない。
「とりあえず、そのままにしておこう」
実はその「とりあえず」が、一番お金のかかる選択肢です。使っていなくても固定資産税は毎年届くためです。
「相続した倉庫や工場をどうすればいいか分からない」という方に向けて、本記事では徹底的に解説をしていきます。
やるべきことは、突き詰めると3つの選択肢から1つを選ぶだけです。
「何から始めればいいか分からない」方へ
リープコネクトは北関東エリアを中心に、倉庫のサブリースを専門で手がけています。
売却か賃貸か決まっていなくても大丈夫です。まずは状況を聞かせてください。
相続した倉庫・工場を放置すると何が起きるか
何もしていない間にも、お金と選択肢は確実に減っていきます。放置によって発生するコストとリスクを順番に確認していきます。
固定資産税は、使っていなくても毎年届く
倉庫を所有している限り、固定資産税(税率1.4%)は毎年かかります。市街化区域内であれば都市計画税(税率最大0.3%)も上乗せされます。使用の有無は関係ありません。
しかも、自宅の土地なら固定資産税が最大1/6に軽減される「住宅用地の特例」がありますが、倉庫や工場の敷地にはこの軽減が使えません。更地と同じだけの税額がかかります。
💡 一度、手元の納税通知書を見てみてください
毎年届く固定資産税の通知書に、倉庫の分の税額が書いてあります。仮に年間50万円だとすると、5年で250万円、10年で500万円。何も生み出さない建物のために、それだけの金額を払い続けていることになります。
倉庫の固定資産税の仕組みや計算方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
>>倉庫の固定資産税はいくら?評価額の調べ方と節税対策
【相続登記と相続税】法律面で「放置」が許されなくなった
2024年4月から、相続登記が法律で義務化されました。法務省によると、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。
相続税にも注意が必要です。申告・納付期限は被相続人が亡くなったことを知った日から10ヶ月以内。倉庫や工場は住宅と評価方法が違うので、「思っていたより評価額が高かった」ということが実際に起こります。
兄弟姉妹で倉庫を共有名義のまま放置しているケースも注意が必要です。共有名義の不動産は、全員の合意がないと売ることも貸すこともできません。時間が経って次の相続が発生すれば関係者が増え、ますます動きが取れなくなります。
【建物は使わないと壊れる】想像以上に早く
人が出入りしなくなった倉庫は、想像以上に早く傷みます。換気が止まれば結露が発生し、屋根や外壁は錆び、雨漏りが始まります。
電気設備も放置すれば腐食します。
3年くらいなら部分的な補修で済むことが多いのですが、5年を超えると話が変わります。
全面改修が必要になり、費用は一気に跳ね上がる。
修繕不能と判断されれば解体するしかなく、木造・鉄骨造の倉庫で坪3〜5万円が解体費の目安です。
工場の場合はさらに注意が必要です。
残っている動力電源(キュービクル)や天井クレーンは、稼働する状態であれば借主にとって大きな魅力です。
自前で導入すれば数百万円かかる設備ですから。
しかし放置して錆びつけば、撤去にも費用がかかり、「価値のある設備」が「処分しなきゃいけない邪魔もの」に変わります。
【不法投棄・不法侵入】知らないうちに問題が起きている
管理されていない倉庫は、不法投棄のターゲットになります。とくに人通りの少ない工業エリアや郊外の物件は狙われやすい傾向です。
投棄された廃棄物の撤去費用は原則としてオーナー負担。
産業廃棄物が含まれていれば数十万〜数百万円になることもあります。
不法侵入者による火災が起きれば、所有者の管理責任を問われるリスクも。
近隣から「草が伸び放題」「外壁が崩れそう」と苦情が入り、行政指導につながるケースも珍しくありません。
放置しているつもりでも、周囲からは「迷惑な空き物件」として見られていることがあるのです。
相続した倉庫・工場の選択肢は3つ
放置のコストとリスクを踏まえた上で、具体的な選択肢に移ります。
相続した倉庫・工場に対してできることは、売る、自分で貸す、サブリースで貸すの3つです。
なお、倉庫や工場は住宅とはまったく別の市場です。
住宅専門の不動産会社には倉庫の相場観も借主のネットワークもないため、どの選択肢を取るにしても、事業用不動産を扱う専門会社に相談することが前提になります。
【売却】手続きが終われば、全部終わる
売却は、一回の手続きで倉庫との関係を完全に断ち切る方法です。
売却代金を受け取った後は、固定資産税も管理も一切不要になります。
相続税の納税資金が足りない場合や、遠方に住んでいて管理が難しい場合は、最もシンプルな選択肢です。
ただし、事業用不動産は住宅ほど買い手が多くありません。
「売りに出したけど、半年経っても問い合わせがゼロ」ということは普通に起こります。
買い手がついたとしても、相場より安く叩かれることが多いのが正直なところです。
そして一度手放したら、もう戻せません。
工場の場合は、用途地域によって製造業の操業可否が変わるため、買い手の業種が限定されることがあります。
ただ逆に、工業専用地域や工業地域にある物件は希少性が高く、思わぬ高値がつくケースもあります。
【自分で貸す】収入は最大、でも電話も全部自分に来る
自分で借主を見つけて賃貸に出す方法です。
仲介手数料やサブリース手数料が引かれないため、3つの選択肢の中では手取りが最も多くなります。
ただし、それは「オーナー業のすべてを自分でやる」ということです。
借主の募集、契約書の作成、毎月の家賃回収、設備が壊れたときの修繕手配。
ここまでは想像がつくかもしれません。
問題は、想像しにくい方のトラブルです。
夜中に「雨漏りしてるんだけど」と電話がかかってくる。
3ヶ月間家賃が振り込まれず、内容証明を送る羽目になる。退去時に「原状回復の範囲」で揉める。
倉庫の賃貸は住宅と勝手が違い、借主は法人が中心で契約交渉も専門的です。
こうした対応が苦にならない人でなければ、正直おすすめしにくい方法です。
【サブリース】入金を確認するだけ、あとは何もしない
サブリースは、サブリース会社が倉庫を丸ごと借り上げ、借主探しから契約・管理・トラブル対応まですべてを代行する仕組みです。
オーナーがやることは、毎月の入金を通帳で確認するだけです。
その代わり、自分で貸す場合より手取りは減ります。
一般的にはもらえる賃料の80〜90%がオーナーへの支払い額で、残りの10〜20%はサブリース会社が管理と空室リスクを引き受ける対価です。
遠方に住んでいて現地に行けない場合や、本業が忙しく管理に時間を割けない場合、不動産の管理経験がない場合など、相続でいきなりオーナーになった人にとっては現実的な選択肢です。
毎年固定資産税を払い続けるだけの状態から、賃料で固定資産税を相殺し、さらに手残りを得る状態に転換できます。
3つの選択肢を並べてみると
どの選択肢が合うかは、「倉庫の管理にどのくらい時間を使えるか」で判断するのが分かりやすい方法です。
| 売却 | 自分で貸す | サブリース | |
|---|---|---|---|
| 手間(管理の負担) | 売却手続きのみ。以後ゼロ | 募集・契約・回収・修繕・トラブル対応すべて自分 | なし(全部お任せ) |
| 年間収支の目安 | 売却益が一括で入る。以後の収入はなし | 賃料×12ヶ月(空室月はゼロ) | 賃料×12ヶ月×80〜90%(空室でも保証) |
| 資産として残るか | 手放す(戻せない) | 自分の資産のまま | 自分の資産のまま |
| 固定資産税 | 売却後はかからない | 賃料収入で相殺できる | 賃料収入で相殺できる |
| こんな人向け | もう関わりたくない。納税資金が必要 | 手間をかけてでも収入を最大化したい | 手間なく資産を持ち続けたい。相続直後で管理経験がない |
管理に一切関わりたくないなら売却。手間をかけてでも利回りを最大化したいなら自分で貸す。
管理はせずに資産を持ち続けたいならサブリース、という整理になります。
どの選択肢が合うか判断がつかない場合は、売却査定と賃貸シミュレーションの両方を取ることをおすすめします。
「売った場合の手取り額」と「貸した場合の年間収支」を並べれば、数字をもとに判断できるようになります。
賃貸・サブリースを選んだ場合の具体的な活用方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
>>使わない倉庫の活用方法5選|売却・賃貸・転用を徹底比較
「売るべきか、貸すべきか」迷っている方へ
リープコネクトは北関東エリアを中心に、倉庫のサブリースを専門で手がけています。
売却か賃貸か決まっていなくても構いません。
まずはお話を聞かせてください。数字を出して、一緒に考えます。
相続した倉庫・工場の活用でよくある質問
Q. 築40年以上のボロボロの倉庫です。こんな状態でも貸せますか?
A. 立地が良ければ貸せます。倉庫は住宅と違って、内装がきれいかどうかはあまり問われません。雨漏りしない、電気が通る、大型車が入れる──この3つが揃っていれば、築古でも借り手はつきます。まずは専門家に建物を見てもらって、「どこを直せば貸せるのか」を確認するところから始めてみてください。
Q. 遠方に住んでいて、現地に行けません。それでもどうにかなりますか?
A. サブリースなら問題ありません。現地の管理も借主への対応も、すべてサブリース会社がやります。オーナーが現地に足を運ぶ必要はありません。契約の手続きもオンラインや郵送で対応できるケースがほとんどです。
Q. 工場を相続しました。クレーンや動力設備が残っていますが、撤去した方がいいですか?
A. 撤去しないでください。天井クレーンや動力電源(キュービクル)は、製造業の借主にとって大きな価値があります。自前で導入すれば数百万円かかる設備ですから、「設備付き工場」として貸し出せば、そのぶん賃料も上がります。まずは設備がまだ動く状態かどうかを専門家に見てもらいましょう。
Q. アスベストが心配です。古い倉庫なので使われているかもしれません。
A. 2006年以前に建てられた倉庫なら、その可能性はあります。売るにしても貸すにしても、事前にアスベスト調査をして結果を開示することが求められます。調査費用は数万〜数十万円。知らずに放置して、あとから問題になるよりも、先に調べておく方が結局は安上がりです。
Q. 相続税対策として倉庫を持ち続けた方がいいと聞きました。本当ですか?
A. 倉庫の場合は、あてはまらないことが多いです。住宅なら「住宅用地の特例」「貸家建付地の評価減」といった節税の仕組みがありますが、倉庫・工場にはこれらが適用されないケースがほとんど。「相続税対策で持っておこう」のつもりが、毎年の固定資産税だけ膨らむ結果になりかねません。事業用不動産に詳しい税理士に、ご自身のケースを試算してもらうことを強くおすすめします。
まとめ
相続した倉庫・工場について、放置のリスクと3つの選択肢を整理しました。
最も避けるべきは「何もしないこと」です。固定資産税は毎年届き、建物は放置するほど劣化し、法律面でも放置は許されなくなっています。
売却、自分で賃貸、サブリースの3択の中でどれが合うかは、物件の立地条件と、管理にどれだけ時間を使えるかで決まります。
判断に迷う場合は、売却査定と賃貸シミュレーションの両方を取ることが、最も確実な第一歩です。
まずは数字を出すところから始めませんか?
リープコネクトでは、倉庫の査定と賃貸シミュレーションを無料で行っています。
埼玉・群馬エリアを中心に、東京・千葉・神奈川も対応。
「どうすればいいか分からない」という状態のまま、ご連絡いただいて大丈夫です。

