- 倉庫を貸すときにどんな税金がかかるのか知りたい
- 管理の手間や空室リスクが心配で踏み出せない
- 賃料はどうやって決めればいいのか分からない
倉庫を所有しているものの活用できていない、相続で取得したが管理に困っている。このような悩みを抱える方は少なくありません。使わない倉庫を放置すれば固定資産税だけがかかり続け、建物の老朽化も進んでしまいます。
一方で「管理が大変そう」「テナントが見つかるか不安」という理由で、賃貸に踏み出せない方も多いのではないでしょうか。実は、倉庫賃貸は適切な準備と知識があれば安定的な収益を生み出す資産活用方法です。管理会社に委託すれば手間をかけずに収益化でき、物流需要が高まる中、倉庫を借りたい企業は増えています。
この記事では、倉庫を貸すメリット・デメリットから、税金、初期費用、具体的な流れ、賃料の決め方、管理方法まで、倉庫賃貸に必要な情報を網羅的に解説します。
初めて倉庫を貸す方でも、この記事を読めば適正な賃料設定の方法、信頼できる管理会社の選び方、空室リスクを減らすコツなど、次に何をすべきかが明確になるでしょう。
倉庫を貸すメリットとデメリット
倉庫を貸すかどうか迷っている方のために、まずはメリットとデメリットを整理していきましょう。倉庫賃貸には安定収入という魅力がある一方で、空室や管理の手間といったリスクも存在します。
実際、月30万円の安定収入を得ている方もいれば、立地や設備の問題でテナントがつかず苦労している方もいるのです。
両方を理解した上で判断することが重要といえます。
メリット
1. 安定した収入が得られる
倉庫賃貸の最大のメリットは、毎月安定した家賃収入を得られることです。100坪の倉庫を坪単価3,000円で貸し出すと、月額30万円の家賃収入が得られます。年間360万円、10年で3,600万円という計算です。
倉庫賃貸の特徴は、住宅賃貸と比べて契約期間が圧倒的に長いことです。住宅は2年契約が一般的で、退去と入居を繰り返しますが、倉庫は3〜5年、長ければ10年以上の契約も珍しくありません。一度契約すれば、数年単位で安定収入が見込めるのです。
契約期間が長いことで、オーナーにとって大きなメリットが生まれます。入居者の入れ替わりが少ないため、空室期間や募集コストを大幅に削減できるのです。物流需要が高いエリアでは、さらに空室リスクも低い傾向にあります。
2. 資産を有効活用できる
使っていないけれど売却するには惜しい倉庫を、そのまま収益化できるのも大きなメリットです。
売却すれば一時的な資金は得られますが収入源を失います。一方、賃貸なら毎月の家賃収入を得ながら資産価値も維持できるのです。
賃貸のもう一つの利点は、将来の選択肢を残せることです。自分の事業で使いたくなった場合や、子どもに引き継ぎたい場合でも、契約終了を待てば手元に戻ってきます。売却してしまうと、こうした柔軟性は完全に失われるでしょう。
3. 税制面のメリット
倉庫を売却すると譲渡所得税がかかりますが、賃貸の場合は不動産所得として計上でき、減価償却費や修繕費などを経費として差し引くことができます。
築15年の倉庫を賃貸にして年間360万円の家賃収入を得た場合、減価償却費(年間約79万円)や固定資産税、修繕費などを経費として計上できるため、課税所得を大幅に圧縮できます。特に青色申告を利用すれば、最大65万円の特別控除も受けられるため、税負担を抑えながら収益を得られるのです。
デメリット
1. 空室リスク
賃貸経営である以上、空室リスクは避けられません。立地が悪い、設備が古い、周辺に競合が多いといった条件では、テナントがつかない期間が長引く可能性があります。
空室が発生すると、家賃収入がゼロになるだけでなく、固定資産税や火災保険料などの固定費は継続して支払わなければなりません。
空室リスクを軽減する方法はいくつかあります。賃料を相場に合わせる、設備を改善する、管理方法を見直すなどの対策が有効です。立地に不安がある場合は、サブリース契約を利用すれば空室時も一定の家賃収入を保証してもらえます。ただし、家賃保証率は80〜90%程度に下がるため、トレードオフを理解した上で判断する必要があるでしょう。
2. 管理の手間
倉庫を貸した後も、オーナーとして対応すべき業務が発生します。家賃の回収、クレーム対応、設備のメンテナンスなど、特に自主管理を選ぶ場合はこれらをすべて自分で行う必要があるのです。
本業が忙しい方にとって、これらの管理業務は大きな負担になります。実際、管理業務の負担を理由に賃貸経営を断念する方も少なくありません。
管理の手間を減らす方法はあります。不動産管理会社に日常的な管理業務を委託する、サブリース会社に一括で借り上げてもらうといった選択肢です。これらのサービスを利用すれば、オーナーとしての負担を大幅に軽減できるでしょう。
3. 修繕費用の発生
倉庫は経年劣化するため、定期的に修繕費用が発生します。屋根の補修、外壁の塗装、設備の入れ替えなど、これらの費用は基本的にオーナー負担です。
年間で家賃収入の10〜20%程度を修繕費として見込んでおくと安心です。年間家賃収入が360万円なら、年間36万円〜72万円を修繕費として確保しておく計算になります。決して小さくない金額ですが、適切にメンテナンスを行うことで、倉庫の資産価値を維持し、長期的には高い賃料を維持できるのです。
倉庫賃貸に向いている人
倉庫賃貸は、次のような方に特におすすめです。長期的な収入を得たい方、将来的に倉庫を使う予定がある方、税負担を抑えたい方、資産を手元に残しながら収益化したい方などが該当します。
一方で、すぐにまとまった資金が欲しい、管理の手間を一切かけたくないという方は、売却や他の活用方法も検討する価値があるでしょう。
詳しくは下記の記事で説明しています。
>>使わない倉庫の活用方法5選|売却・賃貸・転用を徹底比較
倉庫を貸す前に知っておくべき基礎知識
倉庫賃貸を成功させるには、事前に押さえておくべき基礎知識があります。倉庫の種類、耐用年数、賃貸に適した条件について理解しておくことで、適切なテナント選定や賃料設定が可能になるのです。
倉庫の種類と構造
倉庫は構造によっていくつかの種類に分類され、それぞれ耐用年数や賃料相場、テナントのニーズが異なります。所有している倉庫の構造によって、適切なテナント層や賃料設定が変わるため、まずは正確に把握することが重要です。
| 構造 | 耐用年数 | 特徴 | 向いているテナント |
|---|---|---|---|
| 鉄骨造(S造) | 31〜38年 | 最も一般的。汎用性が高い | 物流業者、製造業の部品倉庫 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 38〜50年 | 耐久性高い。温度管理に優れる | 食品会社、医薬品メーカー |
| 木造 | 15年 | 小規模倉庫に多い。耐久性は低い | 個人事業主、小規模事業者 |
| 軽量鉄骨造 | 19〜27年 | プレハブ倉庫に多い。中間的 | 小規模な物流業者 |
鉄骨造(S造)が最も一般的です。資材置き場、部品倉庫、配送センターなど幅広い用途で利用されており、賃料相場は首都圏で坪3,000円〜5,000円程度が目安となります。
鉄筋コンクリート造(RC造)は耐久性が高く、温度管理が必要な荷物を扱うテナントに人気があります。食品、医薬品、精密機器などを保管する企業に適しており、賃料は鉄骨造より高めで坪4,000円〜7,000円程度が相場です。
テナントは、保管する荷物の性質に応じて倉庫の構造を選びます。食品や医薬品を扱う場合は温度管理ができるRC造が好まれ、資材や部品の保管であれば鉄骨造でも十分なのです。自分の倉庫の構造を把握した上で、どんなテナントをターゲットにするかを決めることが重要といえるでしょう。
耐用年数と減価償却
倉庫の耐用年数とは、税法上その建物を何年で償却するかを定めた年数です。耐用年数は構造によって異なり、賃貸経営における減価償却費の計算に直結します。
減価償却費は、倉庫の取得費用を耐用年数で割って毎年経費として計上できる仕組みです。取得価格3,000万円、耐用年数38年の鉄骨造倉庫なら、年間約79万円を経費として計上できます。
年間家賃収入360万円、実際の経費(固定資産税、修繕費など)が100万円、減価償却費が79万円の場合、課税所得は181万円となります。減価償却費を計上しない場合と比べて、所得税を大幅に削減できるのです。
賃貸に適した倉庫の条件
すべての倉庫が賃貸に向いているわけではありません。テナントがつきやすい倉庫には、いくつかの条件があります。
立地
倉庫賃貸で最も重要なのが立地です。高速道路IC、幹線道路、港湾から近い倉庫は、物流拠点として需要が高く、テナントがつきやすい傾向にあります。高速道路ICから車で10分以内、国道沿いで大型トラックが出入りしやすい、港湾エリアから車で20分以内といった条件が目安となるでしょう。
アクセス
大型トラックが出入りしやすい道幅、駐車スペースがあることも重要です。前面道路の幅員が6m以上、倉庫敷地内にトラックの転回スペースがある、駐車スペースが3台以上確保できるといった条件が目安になります。
設備
シャッター、照明、トイレ、事務所スペースなど、基本的な設備が揃っていることも求められます。特に、倉庫兼事務所として使いたいテナントは、トイレや給排水設備の有無を重視します。電動シャッター、LED照明、トイレ・給排水設備、空調設備などが求められるでしょう。
床荷重
床荷重とは、床が耐えられる重さのことです。重量物を保管するテナントは、床荷重1㎡あたり1.5t〜2.0t以上を求めることが多いのです。軽量物なら0.5t/㎡でも可能ですが、中量物は1.0t/㎡以上、重量物は1.5t/㎡以上が目安になります。
住宅街の奥にある、道が狭い、設備が古いといった倉庫は、テナントがつきにくい傾向にあります。ただし、すべての条件を完璧に揃える必要はありません。ターゲットとするテナント層に合わせて、優先順位をつけて改善することが重要なのです。
詳しくは下記の記事で説明しています。
>>倉庫の耐用年数は何年?構造別一覧と減価償却を分かりやすく解説
倉庫を貸すときにかかる税金
倉庫を貸して家賃収入を得ると、税金が発生します。所得税、固定資産税、そして確定申告の手続きについて、具体的な計算例を交えながら解説していきます。
所得税(不動産所得)
倉庫の家賃収入は不動産所得として課税されます。不動産所得は「家賃収入 – 必要経費」で求められるため、経費をしっかり計上することで税負担を抑えることができるのです。
必要経費として認められるものには、減価償却費、修繕費、管理委託費、固定資産税、火災保険料、借入金の利息、広告宣伝費、税理士報酬などがあります。
月額30万円の倉庫を貸した場合、年間家賃収入は360万円です。ここから、減価償却費79万円、固定資産税28万円、火災保険料5万円、修繕費30万円、管理委託費18万円、その他経費10万円を差し引くと、経費合計は170万円となります。したがって、不動産所得は190万円です。
この190万円が課税対象となります。青色申告を利用すれば、さらに最大65万円の特別控除が受けられるため、課税所得は125万円まで圧縮できるでしょう。
固定資産税
倉庫を所有していると、毎年固定資産税がかかります。固定資産税は、倉庫の評価額に基づいて自治体が課税するもので、税率は標準で1.4%です。
評価額2,000万円の倉庫なら、年間28万円程度の固定資産税が発生します。固定資産税は賃貸経営の経費として計上できるため、確定申告で忘れずに計上することが重要でしょう。
固定資産税は年4回(4月、7月、12月、翌年2月)に分けて納付するのが一般的です。一括払いを選ぶこともできますが、分割払いでもペナルティはありません。
確定申告の流れ
倉庫を貸して家賃収入を得た場合、原則として確定申告が必要です。確定申告には「白色申告」と「青色申告」がありますが、倉庫賃貸を事業として行う場合は、青色申告を選ぶことを強くおすすめします。
青色申告には大きなメリットがあります。最大65万円の特別控除が受けられること、赤字を3年間繰り越せること、家族への給与を経費にできることなどです。
青色申告を利用するには、事前に税務署へ「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。提出期限は、青色申告を開始したい年の3月15日まで(新規開業の場合は開業から2ヶ月以内)です。
税理士に依頼する場合、年間10万円〜30万円程度の費用がかかりますが、この費用も経費として計上できるのです。会計ソフトを活用すれば、日々の記帳から申告書の作成まで自動化でき、税務処理にかかる時間を大幅に削減できます。主な会計ソフトには、freee、マネーフォワード、弥生会計などがあり、月額1,000円〜3,000円程度で利用できるでしょう。
詳しくは下記の記事で説明しています。
>>倉庫賃貸の確定申告が面倒?税務処理を9割削減する方法
倉庫を貸すときの初期費用
倉庫を貸し出す際には、いくつかの初期費用が発生します。修繕費用、仲介手数料、広告費など、事前に把握しておかないと想定外の出費で収支計画が狂うこともあるため、注意が必要です。
修繕・リフォーム費用
倉庫を貸す前に、テナントが安心して使えるよう、最低限の修繕やリフォームが必要になることがあります。屋根の補修は10万円〜100万円、外壁の塗装は50万円〜150万円、床の補修は10万円〜50万円、シャッターの交換・修理は20万円〜80万円、照明・電気設備は10万円〜30万円、トイレ・給排水設備は30万円〜100万円が費用の目安です。
すべてを完璧にリフォームする必要はありません。テナントのニーズに合わせて、最低限の機能を満たせる状態にすることが重要なのです。資材置き場として使うテナントなら、内装の美観はそこまで重視されません。一方、倉庫兼事務所として使う場合は、照明や空調、トイレなどの設備が求められるでしょう。
仲介手数料
倉庫の賃貸契約を不動産会社に仲介してもらう場合、仲介手数料がかかります。仲介手数料の上限は法律で定められており、賃料の1ヶ月分+消費税が一般的です。月額賃料30万円の倉庫なら、仲介手数料は33万円(税込)となります。
ただし、オーナー側とテナント側で折半することもあり、契約内容によっては半額負担で済む場合もあるのです。
その他の費用
テナントを募集するために、不動産ポータルサイトへの掲載や看板の設置などの広告費がかかることがあります。費用は5万円〜20万円程度が目安です。
賃貸借契約書を弁護士や行政書士に作成してもらう場合、3万円〜10万円程度の費用がかかります。不動産会社を通す場合は、契約書のひな形を用意してもらえることが多いため、別途費用がかからないこともあるでしょう。
倉庫の火災保険や施設賠償責任保険に加入する場合、年間数万円〜数十万円の保険料が発生します。テナントに保険加入を義務付ける契約もありますが、オーナー側でも最低限の保険には入っておくべきです。
初期費用を抑えるには、必要最低限の修繕に絞る、複数の業者から見積もりを取る、自主管理を選んで管理委託費を節約するなどの方法が有効です。ただし、安全性に関わる部分やテナントが重視する部分は、コストを惜しまず対応することが長期的な収益確保につながるでしょう。
詳しくは下記の記事で説明しています。
>>空き倉庫を貸す費用はいくら?負担額を解説
倉庫を貸し出すまでの5ステップ
倉庫を貸し出すまでの流れを、現状確認から引き渡しまで5つのステップに分けて解説します。各ステップで何をすべきか、何に注意すべきかを具体的に見ていきましょう。
① 倉庫の現状確認
最初に取り組むのが、所有している倉庫の現状把握です。構造と築年数、設備の状態、修繕が必要な箇所、床荷重・天井高・面積、周辺環境を確認する必要があります。
建築時の図面があれば、構造や床荷重などの詳細情報が記載されています。図面が見つからない場合は、建築士に調査を依頼することもできるでしょう。これらの情報を整理しておくと、次のステップでの賃料設定やテナント募集がスムーズに進みます。
② 賃料の設定
倉庫の状態を把握したら、次に取り組むのが賃料設定です。周辺の相場、立地条件、設備の充実度、築年数などを総合的に判断して決めます。
賃料設定の手順は、周辺の類似倉庫の坪単価を調査し、自分の倉庫の強み・弱みを分析します。そして、初期費用や管理費を考慮した収支シミュレーションを行うのです。
不動産ポータルサイトで、同じエリアの類似倉庫の賃料を調べます。構造、広さ、築年数が近い倉庫を3〜5件ピックアップして、坪単価の平均を出します。自分の倉庫の強みと弱みを整理し、相場を基準に調整するのです。
賃料設定の詳細は、後述の「適正な賃料の決め方」で解説します。
③ 募集・広告
賃料が決まったら、テナント募集に入ります。主な募集方法は、不動産会社への依頼、不動産ポータルサイトへの掲載、自社ホームページやSNSでの告知、看板の設置などです。
倉庫や物流施設に強い不動産会社に依頼するのが最も確実でしょう。募集時には、倉庫の写真、図面、設備一覧、賃料・敷金・契約期間などの条件をまとめた資料を用意しておくことが重要です。
④ 契約
テナント候補が見つかったら、契約条件を詰めて賃貸借契約を締結します。契約時の主なチェックポイントは、契約期間、賃料の支払い方法、敷金・礼金の設定、更新料の有無、原状回復の範囲、禁止事項などです。
テナント候補の信用調査も重要でしょう。法人であれば、決算書や事業内容を確認し、家賃を安定して支払える能力があるかをチェックします。契約書は弁護士や行政書士にチェックしてもらうか、不動産会社の標準契約書を使うのが安心です。
⑤ 引き渡し
契約が締結されたら、倉庫を引き渡します。引き渡し時の注意点は、鍵の受け渡し、設備の使い方説明、現状の確認、ゴミの処理ルールや駐車場の使い方などの説明です。
引き渡しが完了した後も、初回の家賃受領を確認する、連絡が取りやすい体制を整える、重要書類を保管するなど、オーナーとしてやるべきことがあります。
詳しくは下記の記事で説明しています。
>>【オーナー向け】倉庫を貸す流れ5ステップ!賃料相場から契約まで徹底解説
適正な賃料の決め方
倉庫の賃料設定は、収益性を左右する重要な要素です。周辺相場の把握、自分の倉庫の強み・弱みの分析、収支シミュレーションを行うことで、適正な賃料を設定することができます。
周辺相場の調べ方
最初に取り組むのが、周辺の類似倉庫の賃料調査です。相場を調べる方法は、不動産ポータルサイトで検索する、地元の不動産会社に問い合わせる、倉庫専門の仲介業者に相談するなどがあります。
不動産ポータルサイトで、自分の倉庫と同じエリア、同じ構造、同じ広さの倉庫を3〜5件ピックアップします。それぞれの坪単価を計算し、平均値を出すのです。
A倉庫は鉄骨造、築20年、100坪で賃料28万円(坪単価2,800円)、B倉庫は鉄骨造、築15年、120坪で賃料39万円(坪単価3,250円)、C倉庫は鉄骨造、築25年、90坪で賃料24万円(坪単価2,667円)というデータが集まったとします。この場合、坪単価の平均は約2,900円です。これが周辺相場の目安といえるでしょう。
賃料に影響する要素
周辺相場を基準に、自分の倉庫の特徴を考慮して調整します。賃料に影響する主な要素を見ていきましょう。
立地面では、高速道路ICから近い、国道沿いなど、アクセスが良い倉庫は相場より高めに設定できます。逆に、住宅街の奥、前面道路が狭いなどの場合は相場より安くする必要があるのです。
設備面では、電動シャッター、LED照明、空調設備、トイレなどが充実している倉庫は、相場より高めに設定できます。手動シャッター、蛍光灯、設備が古いなどの場合は相場より安くする必要があるでしょう。
築年数も重要な要素です。築年数が新しいほど賃料は高く、古いほど安くなります。築10年以内なら相場+10〜20%、築20年以上なら相場-10〜20%が目安となります。
床荷重が高い(1.5t/㎡以上)倉庫は、重量物を扱うテナントに人気があり、相場より高めに設定できるのです。
収支シミュレーション
賃料を高く設定すればするほど収益性は上がりますが、テナントがつかなければ意味がありません。逆に、賃料を安くしすぎると、空室リスクは下がりますが収益性が悪化するのです。
年間家賃収入(月額30万円×12ヶ月)は360万円、固定資産税28万円、火災保険料5万円、修繕費36万円、管理委託費18万円、減価償却費79万円を差し引くと、経費合計は166万円、実質収入(税引前)は194万円となります。
この場合、実質利回りは約54%(194万円÷360万円)です。ただし、空室期間や突発的な修繕を考慮すると、実際の利回りは40〜45%程度になるでしょう。
賃料を月額25万円に下げた場合、年間家賃収入は300万円、実質収入は134万円となり、実質利回りは約45%に下がります。しかし、テナントがつきやすくなるため、空室リスクは低減するのです。複数のシナリオで収支を計算し、最適な賃料を見つけることが重要といえます。
詳しくは下記の記事で説明しています。
>>貸し倉庫の賃料相場はいくら?埼玉・群馬の坪単価を徹底調査
倉庫を貸した後の管理方法
倉庫を貸した後も、オーナーとしての管理業務が発生します。自主管理、管理委託、サブリースという3つの管理方法があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。自分の状況に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。
自主管理とは
自主管理とは、家賃の回収、クレーム対応、設備のメンテナンスなど、すべての管理業務をオーナー自身が行う方法です。
自主管理のメリットは、管理委託費がかからないため収益性が高いこと、テナントと直接コミュニケーションが取れること、倉庫の状態をリアルタイムで把握できることです。
一方、デメリットもあります。家賃の回収やクレーム対応などの手間がかかること、トラブル発生時に即座に対応する必要があること、本業が忙しいと対応が遅れる可能性があることなどです。
自主管理に向いているのは、倉庫が自宅や職場から近い、時間的余裕がある、管理業務の経験があるといった方でしょう。
管理委託とは
管理委託とは、家賃の回収やクレーム対応などの日常的な管理業務を、不動産管理会社に委託する方法です。
管理委託のメリットは、日常的な管理業務から解放されること、トラブル発生時も管理会社が対応してくれること、専門的な知識やノウハウを活用できることです。
デメリットとしては、管理委託費(賃料の5〜10%)がかかること、管理会社との連絡が必要なこと、管理会社の質によって対応が変わることが挙げられます。
管理委託費の相場は、賃料の5〜10%程度です。月額賃料30万円の倉庫なら、管理委託費は1.5万円〜3万円程度になります。管理委託に向いているのは、本業が忙しい、倉庫が遠方にある、管理業務の経験がないといった方でしょう。
サブリースとは
サブリースとは、サブリース会社が倉庫を一括で借り上げ、サブリース会社がテナントに転貸する方法です。オーナーはサブリース会社から毎月一定の家賃を受け取ります。
サブリースのメリットは、空室でも家賃収入が保証されること、管理業務から完全に解放されること、テナントとのトラブルに巻き込まれないことです。
デメリットとしては、家賃保証率が80〜90%程度に下がること、契約内容によっては中途解約が難しいこと、サブリース会社が倒産するリスクがあることが挙げられます。
サブリースの家賃保証率は、相場の80〜90%程度です。相場が月額30万円なら、サブリース契約では24万円〜27万円になります。サブリースに向いているのは、空室リスクを回避したい、管理業務を一切したくない、安定収入を最優先したいといった方でしょう。
まとめ
3つの管理方法にはそれぞれメリット・デメリットがあり、自分の状況に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。
時間に余裕があり、収益性を最大化したい方は自主管理、本業が忙しく管理業務を任せたい方は管理委託、空室リスクを完全に回避したい方はサブリースが向いています。
また、最初は自主管理で始めて、負担が大きくなったら管理委託に切り替えるといった柔軟な対応も可能です。それぞれの特徴を理解した上で、自分に合った管理方法を選択しましょう。
| 管理方法 | 費用 | 手間 | 空室リスク |
|---|---|---|---|
| 自主管理 | なし | 大 | あり |
| 管理委託 | 賃料の5〜10% | 小 | あり |
| サブリース | 賃料の10〜20% | なし | なし |
詳しくは下記の記事で説明しています。
>>倉庫を貸した後の管理全般とリスク対策
>>倉庫のサブリース詳細(埼玉・群馬)

